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根管治療症例

【前歯の根管治療・ダイレクトボンディング症例】30代女性「できるだけ歯を残したい」セカンドオピニオンで外傷後の歯の保存を目指した症例

治療内容 感染根管治療、ダイレクトボンディング
年齢 30代
性別 女性
期間 4ヶ月(3ヶ月の治癒経過の確認含む)
費用(税込) ・感染根管治療 143,000円
・根管治療、再診料 3,300円 2回
・土台の作製 16,500円
・ダイレクトボンディング 121,000円
合計 287,100円
リスク・副作用 ・修復部分のすり減りや破損

・経年的な変色

・適応できるケースが限られる

1. 患者さんのご紹介(主訴・お悩み)

外傷によって前歯を損傷し、他院で治療を受けていた30代女性の患者さんです。

治療の途中で「できるだけ自分の歯を残したい」と考え、セカンドオピニオンを希望されて当院を受診されました。

 

2. ご来院時の状態と診断

他院での根管治療開始時に仮歯まで装着されている状態でした。(状況を補足すると、神経治療の終了後にセラミックなどの被せ物を入れる前提で歯を全体的に削り、仮歯が入っている状態でした)仮歯を外して診査したところ、ご自身の歯はほとんどなく、天然歯本来の形や位置を正しく把握することが難しい状態でした。また一部歯肉の下まで形成がされていたため、出血も認められるなど、歯ぐきの下までダメージが及んでおり、歯肉辺縁の治療の難易度が高い状態でした。

レントゲンなどの検査を行った結果、外傷による歯の損傷に加え、歯の根の先に炎症が生じる「根尖性歯周炎」と診断しました。

本来であれば、外傷直後に受診をしていただけた場合には、神経をできるだけ残す処置や、破折した歯を接着して修復する治療を選択できた可能性があります。

▲例:同じ様な外傷歯における当医院での症例
外傷によって歯が欠けたケースに対し、神経をできるだけ残し、被せ物を使用せず、歯をなるべく削らない方法で修復した症例です。

しかし、本症例ではすでに被せ物による修復を前提として歯が大きく削られていたため、そのような治療を行うことはできませんでした。
今回は、現在残っている健康な歯質をできるだけ保存しながら、機能の回復と自然な見た目の両立を目指した治療をご提案しました。

【コラム】根尖性歯周炎とは

根尖性歯周炎とは、むし歯や外傷などによって歯の神経が失われ、歯の根の先に細菌が感染することで炎症が起こる病気です。進行すると、噛んだときの痛みや歯ぐきの腫れ、膿が出るなどの症状が現れることがあります。また、自覚症状がほとんどないまま進行するケースもあるため、適切な検査と治療を受けることが大切です。

 

3. 治療の流れ

①診査・診断

他院で治療中であったため、まずは現在の状態を把握するため、不適合となっていた仮歯を外し、レントゲン撮影による診査を行いました。

②隔壁の作製・感染根管治療の開始

今後の治療の質を高めるため、歯の形を樹脂で復元し、治療中の感染を防ぐための壁となる「隔壁」を作製しました。治療部位にラバーダムを装着して細菌の侵入を防ぐ清潔な環境を作り、根管治療を開始しました。根管の長さを測り、専用の器具で感染部分を取り除き、内部の消毒を行いました。

※初回の隔壁作製中の様子

③根管充填と経過観察

治療3か月後の治癒経過を慎重に観察しました。経過が良好であることをレントゲンで確認したのち、空洞になった根管内に最終的な薬剤を隙間なく詰める根管充填を行いました。

④ダイレクトボンディングによる歯冠形態の復元

土台を作製した後、最終的な修復処置としてダイレクトボンディングを行いました。残された歯質を活かしながら、歯の形態を復元して一連の治療を終了しました。

【コラム】ラバーダムとは

治療の際に歯に被せる薄いゴム製のシート状の器具です。唾液に含まれる細菌の侵入リスクを抑え、できるだけ清潔な環境で根管治療を行うことを目的として使用されます。

 

4. 治療のポイント

① 最終的な修復を見据えた隔壁の作製

一般的に「隔壁」は、根管治療中に薬液が漏れないようにするとともに、ラバーダムで使用するクランプ(留め具)を保持できる程度の一時的な立ち上がりとして作製されることが多く、(とりあえず壁があればよいというレベル)、最終的な仕上がりまで考慮されることはあまりありません。

② 歯ぐきの下まで及ぶ破折部へのレジン修復

歯ぐきの下まで達した破折部に対しては、専用の器具を用いて出血をコントロールしながら、レジンによる壁を作製しました。その後も歯ぐきとの境目に段差が生じないよう、適合状態を確認しながら微調整と研磨を繰り返しました。

③ 天然歯との調和を目指したダイレクトボンディング

元の歯の形態がほとんど残っていない状態だったため、反対側の前歯の形や傾き、バランスを参考にしながら歯の形態を設計しました。見た目だけでなく、指先で歯の根元やふくらみを確認しながら立体的な形態を整え、ダイレクトボンディングを行いました。最後は研磨によって細かな形態を調整し、周囲の歯になじむ自然な仕上がりを目指しました。

 

5. 治療後・予後

治療では、歯の長期的な保存を見据え、健康な歯質をできるだけ残すことを重視しました。そのため、根管治療中も必要以上に歯を削らないよう配慮しながら治療を進めました。

術後1か月の経過観察では、本症例ではダイレクトボンディング修復部の形態や色調に大きな問題は認められず、良好な経過がみられました。今後は、クリーニングや歯石除去など、お口全体の健康を維持するための定期的なメンテナンスへ移行する予定です。

当院では、患者さん一人ひとりの状態に応じて、できる限りご自身の歯を残すことを考慮しながら、見た目や機能にも配慮した治療方針をご提案しています。歯の外傷や根管治療、前歯の見た目でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

監修:歯科医師
堀 雅晴(院長)
【経歴】

朝日大学 歯科保存学分野 所属
専門:歯内療法学(エンドドンティスト)
・歯の神経の治療(神経の保存を含む)
・助教(2008〜2019)
・非常勤教員(2020〜)
中部歯内療法学会 理事(2010〜2019)
大学の専門治療と並行して、愛知・岐阜・福井の歯科医院にて勤務

【主な年間セミナー受講歴】

・藤本研修会 歯内療法学コース(スウェーデン王立イエテボリ大学公認歯周病・歯内療法専門医)
・歯周病学コース(スウェーデン王立イエテボリ大学公認歯周病専門医)
・藤本研修会 咬合・補綴コース(アメリカ インディアナ大学 米国歯科補綴専門医)
・藤本研修会 LOT(部分矯正)コース(アメリカ ウェストバージニア大学 MOS顎関節学)
・EPSDC イエテボリ大学 診断学コース(スウェーデン王立イエテボリ大学公認歯周病・歯内療法専門医)
・EPSDC イエテボリ大学 矯正学コース(スウェーデン王立イエテボリ大学 MOS矯正学)

藤本研修会 https://www.fujimoto-kensyukai.com
EPSDC https://epsdc-course.instatry.jp

【所属学会】

日本歯科保存学会 http://www.hozon.or.jp
日本歯内療法学会 https://jea-endo.or.jp
日本歯周病学会 https://www.perio.jp
日本顕微鏡歯科学会 https://kenbikyoshika.jp

【資格など】

歯科医師
日本歯科保存学会 専門医 http://www.hozon.or.jp/list
歯科医師臨床研修 指導医
第二種滅菌技士試験合格(日本医療機器学会)

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